人気ブログランキング | 話題のタグを見る

すぐレモン


快適な乗り心地「すぐレモン」の考え方

一般の人には馴染みが無いかもしれない が、橋梁とか鉄骨造など建設分野で基本的に使われる構造力学に関する用語である。実用的には有限要素法(FEM)というような人間ではとても解けないよう な多元の連立方程式をコンピュータで解析する方法が取られている。

だが、その根幹には、下記のような関数で表される簡単で単純な式で変 形量を求めることが出来ます。

これまで自転車のフレームはダイアモンド型の剛性を中心にした考え方のものでした。Nikoのアイデアに よるリトルダイアモンドフレームは、それ自体は、これまでの剛性設計ですが、ブリッジという前輪と後輪を繋ぐ部分を撓むようにしたのが特徴です。この部分 を設計するのに重要な式が以下に述べるものです。

あなた自身の自転車を作るときに必要な内容で「すぐレモン」の設計を理解する上でもつ とも重要な事項です。


たわみ・たわみ角について説明します図の上側、下向きの↓のような梁に荷重(W)を掛けると、載荷後は図の下側のよ うになります。このときの変位量をたわみ(δ)と言い、変形後の部材に対する接線の角度をたわみ角(θ)と言います。


KitLegon(C)



 変形量(δ)は

     δ=WL^3/3EI

から近似値を求めることが出来ます。

     ここに W:荷重

          L:梁の長さ

     分母の E:縦弾性係数で媒質固有の値(ヤング率)

           I:断面二次モーメント

具体的にこのモデルは児童公園で見かけるシーソーに例えることが出来る。横から見たシーソー は中央に支点があり長さ(L)の板が左右に延びていてその両端に人が乗ってお互いが力加減をして上下動を楽しむ道具である。シーソーの半分に注目してみる と中央の支点で固定した場合、その一端に人が乗ると板がたわむと言う現象が起こる。

このたわみ量を変形量(δ)とすると分母が一定のと き乗った人の体重が大きくなるほど変形量は比例して増大する。また、支点からの梁の長さ(L)はその長さの3乗に比例することを意味している、このことは 同じ体重をであっても梁の長さを少し変えただけで大幅に変形量が変ると右の図-荷重によってサドルが沈む様子。

言うことになる。またこ の式からわかるように材質は弾性体であれば鉄でもアルミでもチタンでも何でも良いということになる。 少し荒っぽい概念説明だが図に示した自転車を例に取 れば、サドルと支点の間隔と自転車に乗る人の体重が関係する。

ではどのようにセットすればよいかというと、静かにサドルに乗り、ペダル とハンドルに走行状態に近い力が加わった状態を想定してください。

乗る前と乗った時の沈み込む量を測定します。このときの沈下量を1G 沈下量と名前を付けておきます。この値はおよそ10から20mm程度が適当な値に近いと考えられます。これは次に述べる乗り心地は固有振動数に関係しま す。

片持ち梁の固有振動数

単純な片持ち梁の固有振動数については下記の式で算出できる

f=(λ/2πL)√(Eg/γ) [Hz]

    ただし

     λ:境界条件,振動モードによって決まる係数

L:梁の長さ

E:ヤング率

     γ:梁の単位体積あた りの重さ

この片持ち梁の先端に質量Wの物体を付加した場合における系の固有振動数の計算方法は

 「梁の質量を考慮し た」単純な片持ち梁の場合、レーリー法を使って「梁の質量を無視した」片持ち梁の先端に等価質量(m:梁全体の質量)が付加されている状態とみなせます (この計算は機械振動学の本に載っています)。

 さらにこの片持ち梁の先端に質量Wの物体を付加した場合は等価質量にWを足して最終的 な固有振動数は

「梁の質量を無視した」片持ち梁の先端に質量Wを付加した系の固有振動数は

f=(1/2π)√(3EI/WL ^3)です

    ここに E:ヤング率

 I:弾面二次モーメント

L:梁の長さ

このような考え方でフレームの許容変形量と固有 振動数を求めます。

 実際には使用する材質が決まるとヤング率がきまり、形状がパイプの場合、その内径と外形から弾面二次モーメントを 計算によって求めることが出来ます。

   W=9.8(自転車+人の)重量から計算します。

 この計算は Excllとか関数電卓で簡単な計算で求めることができます。

このような簡単な数式から構造計算によって乗り心地と安全性を確かめてフ レームの設計に取り入れることができるのです。
by tasukei-x24 | 2009-07-31 09:54 | 文章